原状回復工事の流れとチェックポイント – 退去立会いから完了まで

オフィスや店舗の移転が決まったら、次に取り組むべき最重要タスクの一つが「原状回復工事」です。しかし、具体的に「いつから、何を、どのように」進めればよいのか、戸惑う方も少なくありません。

原状回復工事は、単に「退去後に内装を元に戻す」だけではありません。そのプロセスは、解約を申し出る数ヶ月前から始まり、工事完了後の敷金精算まで続きます。各ステップでの確認を怠ると、予期せぬコストが発生したり、貸主(オーナー)とトラブルになったりするリスクが高まります。

この記事では、テナントの担当者様に向けて、退去を決めてから工事を完了し、物件を明け渡すまでの具体的な「流れ」と、各ステップで必ず押さえるべき「チェックポイント」を、時系列に沿って詳しく解説します。

目次

【全体像】原状回復工事のタイムライン

まず、退去を決めてから工事完了までの大まかな流れを把握しましょう。事業用物件の場合、解約予告期間が6ヶ月前と定められていることが多いため、余裕を持ったスケジュール管理が不可欠です。

  • 6ヶ月前〜: 賃貸借契約書の確認、解約予告
  • 5〜4ヶ月前: 工事業者の選定、相見積もりの取得
  • 3〜2ヶ月前: 工事業者の決定、貸主との工事範囲の協議
  • 1ヶ月前〜退去日: 退去準備、貸主との退去立会い
  • 退去後: 原状回復工事の実施
  • 工事完了後: 完了確認、物件の明け渡し、敷金精算

Step 1:解約予告と準備(6ヶ月前〜)

すべての始まりは、賃貸借契約書の再確認です。

  • 解約予告期間の確認: 契約書で「解約予告期間」を確認し、定められた期日までに必ず書面で貸主(オーナー)または管理会社に解約を通知します。口頭での連絡は「言った・言わない」のトラブルの元です。
  • 原状回復義務の範囲を確認: 契約書内の原状回復に関する条項を熟読し、「どこまでが自社の負担範囲か」「特約事項はないか」を正確に把握します。
  • 入居時の資料を準備: 入居時に撮影した室内の写真や、契約時に交わした「現況確認書」など、物件の当初の状態を示す資料をすべて集めておきます。

【チェックポイント】 □ 解約通知は指定された方法(書面など)で行ったか? □ 契約書に記載された「原状回復の範囲」と「特約」の内容を理解したか? □ 入居時の状態を示す写真や書類は揃っているか?

Step 2:工事業者の選定と見積もり(5〜4ヶ月前)

解約通知と並行して、工事の依頼先を検討します。

  • 工事区分の確認: 契約書に基づき、A・B・C工事の区分を確認します。特に、費用が割高になりがちなB工事(貸主指定業者が施工)の範囲を明確にしましょう。
  • C工事の相見積もり: 借主が自由に業者を選べるC工事については、必ず3社以上から相見積もりを取得します。これにより、適正な費用相場を把握でき、コスト削減につながります。
  • 見積書の精査: 提出された見積書は、総額だけでなく、項目ごとの単価や数量が記載された「詳細な内訳」になっているかを確認します。「工事一式」といった曖昧な見積もりは絶対に避けましょう。

【チェックポイント】 □ B工事の範囲について、貸主側と認識の齟齬はないか? □ C工事について、複数の業者から詳細な見積もりを取得したか? □ 見積もりの内容に不明瞭な「一式」表記はないか?

Step 3:退去立会い(退去日〜)

「退去立会い」は、原状回復の範囲と費用負担を確定させる、最も重要なプロセスです。

  • 関係者の参加: 必ず借主と貸主(または管理会社)の双方が立ち会います。認識のズレを防ぐため、可能であれば施工業者にも同席を依頼しましょう。
  • 現況の確認: 入居時の資料と見比べながら、室内の損傷箇所を一つひとつ確認します。
  • 負担割合の協議: 確認した損傷箇所について、それが**「通常損耗・経年劣化(貸主負担)」なのか、「テナントの故意・過失による損傷(借主負担)」**なのかを、その場で明確に協議します。
  • 合意内容の書面化: 協議して合意した内容は、必ず**「退去時現況確認書」**などの書面にまとめ、双方が署名・捺印して保管します。

【チェックポイント】 □ 貸主側の責任者と直接立ち会っているか? □ 損傷箇所の原因と負担者について、その場で明確に合意したか? □ 感情的にならず、契約書とガイドラインを基に冷静に交渉できているか? □ 合意内容を証明する、双方が署名した書面はあるか?

Step 4:工事完了と明け渡し(退去後)

立会いで合意した内容に基づき、業者が工事を開始します。

  • 工事の実施: 契約した業者が原状回復工事を行います。
  • 完了確認: 工事が完了したら、再度貸主と立ち会い、工事内容が合意通りに実施されているか、修繕箇所に不備がないかを確認します。
  • 物件の明け渡し: 問題がなければ、鍵をすべて返却し、物件を完全に明け渡します。「明け渡し確認書」などの書面を取り交わしましょう。

【チェックポイント】 □ 工事完了後の状態が、立会いで合意した内容と一致しているか? □ 鍵の返却と引き換えに、明け渡しが完了したことを証明する書面を受け取ったか?

Step 5:敷金・保証金の精算

物件の明け渡し後、最終的な費用の精算が行われます。

  • 精算書の確認: 貸主から、敷金(保証金)から原状回復費用を差し引いた「精算書」が送られてきます。請求されている費用が、立会いで合意した負担額と一致しているか、詳細に確認します。
  • 残金の返還: 問題がなければ、残金が指定の口座に返還されて、すべてのプロセスが完了です。

【チェックポイント】 □ 敷金の精算書に記載された費用は、事前に合意した金額と相違ないか?

まとめ:円滑な原状回復は「準備」と「記録」がすべて

原状回復工事をトラブルなく終えるための鍵は、「早めの準備」と「徹底した記録」に尽きます。退去が決まったらすぐに契約書を確認し、貸主とコミュニケーションを取り、すべての合意を書面に残す習慣をつけることが、御社の時間とコストを守る最善の策となります。

もしプロセスの中で少しでも不安や疑問を感じたら、一人で抱え込まず、SNBコーポレーションの原状回復工事サービスページよりお気軽にお問い合わせください。

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この記事を書いた人

はじめまして。SNBコーポレーション株式会社です。
私たちは、愛知県名古屋市を拠点に、東海三県(愛知・岐阜・三重)で建物管理、原状回復工事、内装リフォーム、ビルメンテナンスなどを手掛ける会社です。このブログでは、長年培ってきた専門知識やノウハウを活かし、オーナー様や管理会社様にとって有益な情報や、私たちが手掛けた施工事例などを発信してまいります。

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