愛知県・名古屋の原状回復工事費用はいくら?物件タイプ別・費用相場と費用負担の考え方

「退去時の原状回復に、一体いくらかかるのだろう?」
名古屋市内でオフィスや店舗を移転する際、多くの事業者様が直面する最大の懸案事項、それが費用の問題です。原状回復工事の費用は、物件の広さや使い方によって大きく変動するため、相場が分かりにくく、資金計画を立てる上での大きな不安要素となりがちです。
不当に高額な請求をされたり、想定外の出費で移転計画に支障が出たりする事態を避けるためには、事前に「適正な費用相場」と「費用を左右する要因」を正確に把握しておくことが不可欠です。
この記事では、名古屋エリアの市場感に基づき、
- 物件タイプ別の具体的な費用相場(坪単価)
- 見積もりの内訳と、費用が変動する要因
- コストを賢く抑えるための具体的な方法
を、専門家の視点から徹底的に解説します。
【名古屋版】物件タイプ別・原状回復工事の費用相場
費用を概算する上で最も一般的な指標が「坪単価」です。ただし、これはあくまで目安であり、物件の状態や契約内容によって変動します。
物件タイプ | 坪単価の目安 | 特徴・注意点 |
---|---|---|
小規模オフィス(〜30坪) | 2万円 〜 5万円 | 間仕切りが少なく、内装もシンプルな場合が多い。比較的費用を抑えやすい。 |
中〜大規模オフィス(30坪〜) | 4万円 〜 10万円以上 | 会議室や役員室など間仕切りが多く、OAフロアや電気工事の規模が大きくなるため、坪単価も上昇する。 |
物販店(アパレル・雑貨など) | 3万円 〜 15万円 | ブランドイメージを反映した造作物や特殊な内装が多く、それらの解体・撤去費用がコストを押し上げる要因に。 |
軽飲食店(カフェなど) | 5万円 〜 12万円 | 簡易的な厨房設備のため、撤去費用は比較的安価。ただし、給排水設備の復旧は必須。 |
重飲食店(焼肉・中華など) | 10万円 〜 50万円以上 | 大規模な厨房設備、排気ダクト、グリストラップの専門的な清掃・撤去が必要。最も費用が高額になるケース。 |
なぜ費用は変動するのか?見積もりを左右する5つの要因
同じ広さの物件でも、費用が倍以上違うケースは珍しくありません。その背景には、以下の5つの要因が大きく関わっています。

1. 内装のグレードと造作物の量
入居時にどれだけ内装を作り込んだかが、費用に直結します。高級な建材を使っていたり、特注の造作棚やカウンターを設置していたりする場合、それらの解体・撤去・処分費用は高額になります。

2. 厨房・排気設備の有無と汚れ具合(飲食店)
飲食店の場合、費用を決定づける最大の要因が厨房です。特に、排気ダクトやフードに固着した頑固な油汚れを除去する専門清掃は、高額な費用がかかります。この清掃を怠ると、貸主から厳しい指摘を受け、再工事となるケースも少なくありません。

3. B工事の範囲
貸主が業者を指定する「B工事」の範囲が広いほど、費用は高くなる傾向にあります。競争原理が働かないため、市場価格よりも割高な見積もりが出されやすいからです。契約内容を確認し、どの工事がB工事に該当するのかを正確に把握することが重要です。


4. ビルのグレードとルール
ハイグレードなオフィスビルでは、共用部を保護するための養生基準が厳しかったり、工事可能な時間帯が夜間・休日に限定されていたりすることがあります。これらの制約は、作業効率の低下や人件費の割増につながり、結果として総額を押し上げます。

5. アスベストの有無
築年数の古いビル(目安として2006年以前)の場合、建材にアスベストが含まれている可能性があります。アスベストの除去作業は、専門的な資格と厳重な管理体制が必要なため、もし発見されれば工事費用は大幅に増加します。
名古屋で原状回復費用を賢く抑える4つの方法
高額になりがちな原状回復費用ですが、正しい知識を持って計画的に行動すれば、コストを抑えることは十分に可能です。

1. 【最重要】C工事で相見積もりを取る
借主が自由に業者を選べる「C工事」については、必ず3社以上から見積もりを取りましょう。名古屋市内にも多くの専門業者が存在します。各社の見積もりを比較検討することで、適正な価格を把握し、不当な高額請求を回避できます。

2. 貸主(オーナー)と交渉する
「この造作物は次のテナントも使えるのではないか」「この程度の汚れは通常損耗の範囲ではないか」など、契約書とガイドラインを基に、貸主と粘り強く交渉しましょう。すべてを言いなりに受け入れる必要はありません。

3. 「居抜き退去」を検討する
内装や設備をそのままの状態で次のテナントに引き継ぐ「居抜き退去」は、原状回復費用を最も劇的に削減できる方法です。特に飲食店や物販店では、後継テナントが見つかりやすいケースもあります。早い段階で貸主に相談してみましょう。

4. 専門知識が豊富な業者に相談する
原状回復工事の費用は、専門的な知識の有無で大きく変わります。特にB工事の費用査定や、貸主との交渉においては、経験豊富な専門業者のサポートが不可欠です。業者選定の際は、価格だけでなく、名古屋エリアでの実績や、交渉代行まで含めたサポート体制も確認しましょう。

まとめ:適正価格の把握と計画的な準備が成功の鍵
原状回復工事の費用は、決して「決まった値段」があるわけではありません。物件の状況や契約内容、そして何より「テナント側の知識と準備」によって大きく変動します。
まずはこの記事を参考に、ご自身の物件のおおよな費用相場を把握し、できるだけ早い段階で信頼できる専門家へ相談することから始めてください。計画的な準備こそが、コストを抑え、円満な退去を実現するための最も確実な方法です。
名古屋エリアでの具体的なお見積もりやご相談は、SNBコーポレーションの原状回復工事サービスページよりお気軽にお問い合わせください。